深夜における酒類提供飲食店営業 営業開始届
正式名称を長いので、巷では「深酒(ふかざけ)」と略されることが多いです。居酒屋やバーなど酒類を提供する飲食店は、この届出をしないと深夜0時から午前6時まではお酒を提供することができません。これに気付かず届出をしないまま深夜にお酒を提供している居酒屋さんなどが散見される、という話を聞いたことがあります。もちろんこれは違法です。
ただし、この届出は営業の業態として通常主食と認められる食事を提供する店は必要ありません。例えば、ラーメン屋さんが深夜にビールを提供する場合は届出不要ということです。この届出が必要なのは、あくまでもお酒の取り扱いをメインで提供する業態のみ、ということになります。
届出の要件
- 営業地域の要件
東京都の条例では、下記の用途地域でしか深夜における酒類提供営業ができません。
・商業地域
・近隣商業地域
・工業地域
・準工業地域
- 営業所・設備の要件1 客室の床面積は、一室の床面積を9.5㎡以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。2 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。※100cmを超える衝立や間仕切りなどを設置することはできません。
- 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。※裸のポスターなどが貼ってあってはいけません。
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
- 営業所内の照度が20ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。※20ルクス=10m先の人の顔、行動が識別でき、誰であるか分かる程度。
- 騒音又は振動の数値が法第32条第2項において準用する法第15条の規定に基づく条例で定める数値(55デシベル)に満たないように維持するため必要な構造又は設備を有すること。※55デシベル=普通の声で3m以内での会話が可能な程度の騒音
届出の手数料
手数料は0円です。届出事項に変更が生じた場合の変更届も0円です。
深夜営業開始はいつから?
深酒の届出は、深夜営業開始の10日前までに行う必要があります。つまり逆に言うと、深酒の届出が受理されてから10日後に深夜営業を開始することができます。もちろん深夜0時までの営業であれば10日経つ前でも営業は可能ですし、深夜に酒類を提供しないのであれば深夜営業も可能です。
必要書類
・深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
・営業の方法
・誓約書(接待営業をしない旨の誓約書。届出先によるので要確認)
・飲食店営業許可証のコビー
・メニュー案(メニューのコビーでOK)
・建物の全部事項証明書(自己保有の場合のみ)
・物件契約書のコピー
・使用承諾書
・営業所周辺の概略図
・入居階平面図
・営業所平面図
・求積表
・営業所求積図
・客室等求積図
・音響、照明図
・住民票(法人の場合は全役員分)
・定款のコピー(法人のみ)
・履歴事項全部証明書(法人のみ)
【外国人の場合のみ】
・在留カードのコピー
【行政書士が申請する場合】
・委任状
深酒の届出もそうですが、風営法関連の申請等はローカルルールが大変多いです。警察署によって異なることが多々ありますので、事前に必要書類を確認しましょう。