道路占用許可とは?行政書士がやさしく解説


道路占用許可とは?行政書士がやさしく解説
道路占用許可とは、道路法第32条に規定される、道路の一部(地下、上空を含む)を特定の目的で占用するために必要な行政の許可制度です。例えば、歩道にせり出すような袖看板を設置する場合や、水道管工事、また建築工事用の足場が歩道や車道にかかってしまう場合など、さまざまな場面で必要になります。この許可が必要なのは、道路が公共の財産であり、その使用には一定の制約が設けられているからです。道路占用許可について知っておくべき基本的な内容から、申請方法までを詳しく解説します。
道路占用許可の基本
道路占用許可は、道路を占用したいと考えている企業や個人が申請し、行政機関から正式に許可を得るための仕組みです。許可を受けずに道路を占用することは、違法となり罰則が科せられる場合があります。道路占用許可を得て、道路占用料を道路管理者に納付することで特定の目的に道路を占用することができるのです。
道路占用許可を受ける際には、その占用目的に応じて申請内容や必要書類が異なります。道路を占用する理由や期間が明確でなければならず、特に工事や看板設置などの事業活動においては、事前にしっかりと準備をすることが大切です。 よく間違って「道路占有許可」と言われる方も多いですが、正しくは「道路占用許可」です。
道路占用許可と道路使用許可の違い
道路占用許可を取得する場合、もう一つ重要な許可が必要です。それは、警察署から取得する道路使用許可です。
道路占用許可:道路上に継続的に占用物を設置するための許可
道路使用許可:道路上で一時的に作業を行うための許可
道路を占用するにあたって、ほとんどの場合は作業が発生しますので道路使用許可も同時に取得する必要があります。
道路使用許可について、詳しくはこちらの記事「道路使用許可とは?初心者にもわかりやすく解説」で解説していますので気になる方はこちらをご覧ください。
申請の方法
道路占用許可申請は、管轄の行政機関(道路管理者)、主には市役所や区役所、都道府県道の管理事務所、国道事務所などに対して行います。申請先の道路管理者によって申請の流れは一部異なります。
申請の流れは次の通りです。
- 申請先の確認
自分の事業所や占用したい道路を管轄している行政機関を確認します。例えば、市道を占用する場合は市役所、国道の場合は国道事務所となります。道路管理者がどこの機関かを確認しましょう。 - 申請書の作成
申請書には、道路を占用する目的や期間、占用する具体的な範囲、工事内容(あるいは施設設置内容)などを記入します。 - 添付書類の準備
申請書とともに必要な添付書類を提出します。申請には道路をどういった形で占用するのか詳細に説明する資料を添付する必要があります。どんな添付書類が必要になるかは占用の内容によって変わってきます。これについては次の項で詳しく説明します。 - 申請先の窓口にて道路占用許可申請の仮受付
作成した申請書と必要書類を、窓口にて提出し、事前の確認を行います。 - 警察署へ道路使用許可の申請
行政機関での事前確認を終えたら、次は道路使用許可の申請です。所轄の警察署で道路使用許可申請の手続きを行います。 - 道路使用許可証交付・道路管理者へ道路占用許可の申請
警察で発行された道路使用許可証を持って道路管理者へ道路占用許可を申請します。 - 道路占用許可証の交付
審査期間は即日~1ヶ月程度と管轄行政機関によって異なりますが、手続き開始からおよそ2~3週間程度で道路占用許可証が交付されることがほとんどです。交付までの期間は行政機関によって前後しますので、工期が決まっている場合は事前に管轄の行政機関へ確認しましょう。
申請に必要な書類
道路占用許可を申請する際に必要となる書類は、申請内容に応じて多少異なりますが、基本的に以下のものを提出します。
道路占用許可申請書
申請書に必要な情報(使用目的、占用範囲、期間など)を記入します。
各種図面(平面図、立面図、断面図、案内図など)
占用予定の場所の位置を示す地図や、占用内容がわかる図面を提出します。足場組みに対する道路占用の場合ですと、足場を設置する範囲を示した平面図、立面図、断面図が最低限必要となります。
その他書類
工事を行う場合は、工事内容や工事期間を示した工程表が必要になる場合もあります。道路の占用内容や道路占用に伴う工事内容(作業内容)によって追加で書類や資料が必要となる場合がありますので、あらかじめ行政機関へ必要書類を確認しましょう。
道路占用料
道路占用許可の申請自体に手数料は発生しませんが、道路占用許可を取得した際に、行政機関に対して道路占用料の納付が必要です。金額は行政機関や設置する物、占用期間によって異なります。大体は年額占用料×平米数を月で割って計算されます。
(例)東京都世田谷区で10㎡の足場を1ヶ月設置した場合の道路占用料(令和7年の場合)
道路占用料年額24,600円×道路占用面積10㎡÷12=道路占用料20,500円
取引先への見積提出等で道路占用料の正確な数字が必要となる場合は、占用面積を確定させた上で行政機関へ確認すると良いでしょう。
申請時の注意点
道路占用許可を申請する際には、いくつかの注意点があります。
- 占用範囲の正確さ
占用する範囲や面積が不明確な場合は、申請が受理されません。地図や図面は正確に描くようにしましょう。 - 周辺環境への配慮
占用物件が周辺の住民や通行人に与える影響を最小限に抑えるように配慮が必要です。行政機関のホームページに道路占用許可基準が掲載されていますので、事前に確認したうえで設計しましょう。 - 期限の厳守
許可を得た後も、許可の期間や条件を守らないと、違法占用となることがあります。やむを得なく占用期間が過ぎる場合は事前に道路占用許可の再申請を行い、期限を守るようにしましょう。 - 工事開始届・工事完了届
行政機関によっては占用開始時に工事開始届(工事着手届)、占用物件の撤去時に工事完了届(工事廃止届)の提出が求められる場合があります。事前に管轄の行政機関に確認しましょう。 - 機械等設置届(足場設置届)
工事や占用の内容によっては事前に労働基準監督署へ機械等設置届の提出が必要となるケースがあります。占用物件の高さが10メートルを越え、60日以上の占用を行う場合は、事前に労働基準監督署へ確認してみてください。
まとめ
道路占用許可は、道路を占用する場合に必ず必要となります。申請から許可が下りるまでに時間がかかるため、余裕を持って申請の準備を行いましょう。 「工期までにあまり時間が無い」や「申請方法に不安がある」といった方は、道路占用許可の専門家である行政書士に相談することをお勧めいたします。
ワークスハブ行政書士事務所では道路占用許可申請を専門とするチームが申請をお手伝いいたしますので、お気軽にお問合せください。
