飲食店営業許可申請のポイント・注意点

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飲食店開業で必ず通らないといけない道として飲食店営業許可の申請があります。
この申請をすると、内装工事後から開店までの間に保健所職員の方が実際にお店に来て実査(現地調査)が行われます。
実査の内容は簡単に言うと「飲食店の営業に必要な設備が備わっているかどうかを確認する調査」です。
飲食店営業許可の申請時点では設備が整っていなくても申請できますが、実査の際には全て完成している必要があります。
その際、実際の設備と申請の図面記載内容が違っていても、必要な設備が設置されていれば実査上は問題ありません。
後から図面を修正して提出すれば大丈夫です。
ただし、必要な設備が設置されていない場合は再検査となる可能性がありますので注意してください。

飲食店営業許可申請では「営業設備の配置図」と「施設周辺の見取図」という2つの図面作成が必要となります。
図面作成と聞くと、CADを使って図面を作成しないといけないのか、といった疑問も湧いてきがちです。
安心してください、大丈夫です。難しく考える必要はありません。

営業設備の配置図は、調理場の設備とトイレの位置などが分かる程度の図面で問題ありません。
大切なのは、必要な設備についてきちんと記載されていることです。
施設周辺の見取図も店舗の位置がわかる程度で大丈夫です。

業種によって多少異なりますが、必要な設備はおおむね次の通りです。
・調理場と客室との境界のドア
・湯、水が使える2槽シンク
・給湯設備
・冷蔵設備
・扉付きの食器戸棚
・従業員用手洗、消毒装置(固定)
・換気、照明設備
・トイレ
・トイレの手洗、消毒装置
※実査の日までに設備が整っていない場合は再検査となる場合がありますので注意してください。

飲食店を新規開業する場合に初期費用を抑えるため、居抜き店舗を活用される方も多いかと思います。
内装工事をせずに店舗運営を始められるため人気ですが、思わぬ落とし穴が眠っている事もあるので注意してください。
閉店したお店が飲食店営業許可を取って営業していたので設備要件は満たしているだろう。この発想は危険です。

飲食業を経験されたことがある方なら心当たりがあるかもしれませんが、「お店を営業していく中で邪魔な設備を現場判断で除去してしまっていた」という事はよく聞く話です。代表的なものだと、調理場と客室を隔てる扉があります。
頻繁に行き来をする店内では、この扉の開閉が面倒だという理由で外されてしまったり、壊れてしまったという理由で除去されてしまうケースがよくあります。もちろんこれは違法です。
たとえ居抜き物件だとしても、必要な設備が設置されているかどうかについてはしっかりと確認しましょう。

ご存知の方も多いかと思いますが、飲食店として営業許可を取るためには食品衛生責任者の設置が必須要件となります。
一般的には、オーナー様だったり店長様だったりが登録されているケースが多いかと思います。

この食品衛生責任者になるために「調理師免許を持っている必要がある」と勘違いされている方が時々いらっしゃいます。
調理師免許や栄養士といった専門資格を持っている方が責任者となるのが理想的ですが、こちらの資格を持っていない方でも食品衛生責任者になれるように、食品衛生協会は食品衛生責任者養成講習会という講習会を定期的に実施しています。
この講習会に参加する事で、特別な資格を持っていない方でも、食品衛生責任者の資格を取得出来ます。
ちなみに、都内では2~3日に1回のペースで開催されています。
詳しくはこちら⇒食品衛生責任者養成講習会HP

しかしこの講習、油断していると予約が取れず数週間~数ヶ月待ちという事もよくあります。
予約が取れず受講が出来ないのでお店の開店計画が先延ばしになってしまう…という最悪の事態に避けるためにも、
前もって計画的に講習の予約を行うことがベストです。

もし何らかの理由で講習の予約が取れず許可申請に間に合わない場合には、誓約書を提出するという方法もあります。
この誓約書は「〇年〇月〇日時点では食品衛生責任者を設置していませんので、3ヶ月以内に責任者を設置して管轄保健所長にご報告いたします。誓約に違反した場合はどのような処分を受けても異論ありません。」といったような内容です。
遅れた場合は許可取り消しになる可能性もありますので、なるべく早く講習会を受講する事をお勧めします。
※保健所毎にフォーマットが異なる場合がありますので、管轄保健所にて確認してください。